頭のいい子の朝ごはん

先日、「バカになる朝ごはんがあった!」という記事を読みました。
センセーショナルなタイトルが目を惹くのですが、書いてある内容をすごく要約すると「バランス良く朝食を食べましょう。(色々捗るから)」という感じでした。まぁ、朝食の重要さは誰もが知るところでしょうが、いちがいに「食べなきゃダメ!」とは言えないと思います。朝ごはんを食べなくても成績が良い子はいるだろうし、朝食に力を入れているご家庭でも、子供の成績が振るわない…という場合もおそらくあるのでしょう。ただ、朝から手の込んだ食事を用意するようなマメなお母さんもしくはお父さんならば、その他の子供にまつわる事柄への意識も高いのだと推測すると「バランスの良い朝ごはんを食べている子は頭がいい」というのは、そのお宅の家庭環境が良いから現れた結果なのだと思います。

こちらをご覧ください。

これは私の義父(73)が時々購入している「プレジデントファミリー」という雑誌です。経済誌「プレジデント」の家庭版ですね。主な内容は教育や家庭環境作りに関する話題で、最近の見出しでは「子供に伝わる叱り方」「子供の体を絶好調にする法」等があります。なんだか目線が上司っぽいというか監督っぽいというか。「学費が貯まる暮らし方」なども。そうですね。学費、気になりますね。我が家では、この雑誌がある一定のスパンで私の目につくところにさりげなく置かれているので、うちにはそういう類の妖精さんがたまに現れるのだと思い、ありがたく読んだり読まなかったりしています。育児において参考になることや役立つ情報が満載なのに、なぜ読んだり読まなかったりなのかと言いますと、この手の雑誌は、読むと自分の中のいらん焦りや極端に考えがちな性質が増幅されるのでどうも苦手で…「よそのご家庭ではこんな事まで!あんな事まで!アワワワ!うち、全然ちゃんとしてない!アワワワ!」とすぐ泡食ってしまいます。もともと流されやすく、ドッジボールでは人が固まるところに逃げ込むような小学生でした。プレジデントファミリーの問題ではなく、私の心の問題です。

で、そのプレジデントファミリー。昨年の号に「朝の30分で頭は良くなる」という特集があったのを前述の「バカになる朝ごはん」で思い出しました。内容は有名進学塾の成績トップ生の子ども達の起床から登校までの朝の生活レポート、小学生1000人の家庭調査による学力と生活習慣の関係考察、スポーツトレーナーご一家の栄養指導、大学教授ご一家の食卓会話などなど。全方位死角なし。徹底的です。そしてその中には「朝ごはんグランプリ開催!栄冠はどんな母に輝いたか」という記事が。まさしく「バカになる」の対極ですね。朝ごはんグランプリ受賞者のお母様方の作る朝食は本当に素晴らしいものでした。そして載っている子供たちの非の打ち所の無い健全な生活習慣とつやつやした笑顔にいたく感動し、去年の私はたわいもなく「子供の朝ごはんは大事だからもっとちゃんとせねば!!」と奮い立ちました。恥ずかしながらそれまではおにぎりに野菜スープ、惣菜パンと牛乳、とかそういう素っ気無い感じだったのですが…にわかに…それみたことか!すぐ影響されて!!だからお母さんいつも言ってるでしょ!!よそはよそ、うちはうち!されどなかよし!って!!…でも、私自身も朝はしっかり食事したい方(ギミアどんぶり飯)ですし、子供たちも朝ごはんを楽しみにしてくれるようになったので、朝食を充実させることに意識が向いたのは良かったと思います。
前置きが長くなりましたが、ほんの少し食育を気にするようになった私が作った朝食と、プレジデントファミリー掲載の内容についてご紹介させていただきます。



まずは我が家の朝ごはん。

レーズンパン、納豆、フルーツ(柿と梨)。子供に「今日の朝ごはんはパンと納豆どっちがいい?」と聞いたところ「両方!!」という答えが来たので、こうなりました。一番最初からこの有様ですみません。ここからじわじわ工夫を凝らしますから!




ソーセージパン。キャンディーチーズ、フルーツ(りんご、いちご、キウイ、バナナ)



カレー&ほうれん草の胡麻和え。withみかん。



おにぎり、エビフライ、かぼちゃ煮物、スプーンに乗っているのは、ほうれん草とお豆腐の白和えです。少しでも子どもが食べやすいようにと思ってあらかじめ乗せているのでしょうが、今見るとヘンですね。あとご飯は基本的に発芽玄米と白米のハーフです。いわば木村カエラです。

おにぎり、鶏照り焼き、魚肉ソーセージとチーズ串



何を作ったか忘れました。おこげがついているからたぶん炊き込みご飯。キャベツ・ベーコン・油揚げのお味噌汁、納豆。



ホタテ貝柱とキノコの炊き込みご飯。フルーツ(オレンジ・キウイ)


人参と鶏肉の混ぜご飯、ほうれん草とササミの和え物、里芋の煮物。右はたけのこ御飯、ブロッコリーとベーコン炒め、黒豆、ロールケーキちょっぴり。この二枚の写真はすごく似ていますが両方とも別の日で、間違い探しではありません。



うちの子供たちは甘党のあんこ好きなので黒豆も大好きです。くろまめちゃん!くろまめちゃん!と呼び親しんでいます。



ハムチーズトースト・冷凍グラタン・柿・ほうれん草のおひたし&トマト

ハムチーズ登場率高いです。

デニッシュトースト、りんご、グラタン。こっちのグラタンは前日のビーフシチューをリメイクしたものです。




卵・レタス・トマトのスープに餅をぶっこんだ洋風雑煮です。たぶんこの時、米もパンも無かったんだと思います。




けんちん汁にそうめんをぶっこんだものです。たぶんこの時も米とパンが無かったんだと思います。


食わず嫌いの多いうちの子供が喜んで食べるようなものを出していると、どうしても毎日似通った感じになってしまいます。するとだんだん用意しているこっちも飽きてくるので、ちょこちょこ違うものも出します。


牡蠣とソーセージのグラタン。チーズがこんがりしていて、結構おいしそうではないでしょうか。小さい鍋の型をしたグラタン皿もいかにも子供が喜びそうですよね。ところがどっこい。これ、一口も食べませんでした。冷凍のグラタンの方がリアクションが良かったです。子どものいけず!



話題のシリコンスチーマーでパンプディングに挑戦しました。目新しい調理器具を使ってちょっと変化球の朝食を…と試みたのですが、こっちもどっこい。子供の反応ときたら「なんかキモチワルイ…」で、トマトスープしか手をつけませんでした。これは後日再チャレンジした際に、上からメープルシロップをドボドボかけることで食べさせるのに成功しました。



アボカドとチーズの混ぜご飯。コーンやハムを入れても良いですね。あと、細かくちぎったレタスや枝豆などを入れると食感がいいと思います。



こちらはキャベツとツナの混ぜご飯。塩昆布でもんだキャベツとキュウリを、ツナ、胡麻と混ぜ合わせます。マヨネーズ好きのお子様ならマヨonで。
こういった混ぜ御飯は、親としては栄養バランスが取りやすい工夫をしているつもりなのですが、子供的にはなんか得体が知れないらしくて、すごくしぶしぶ食べています。「これしかないからこれを食べる」という感じで、おしんの大根めしのようなポジションです。全体的にこちらが、どや!って顔して出した物に限って、反応が今ひとつですね。うちの場合。

この混ぜ御飯などはすごく私好みで、上に乗せるものを温泉卵にしてちょっとお醤油をたらしたら、もうスルスル流し込めるんですけどねぇ…




塩昆布が好きなので、キャベツやキュウリだけでなく、かぶでもよく浅漬けを作っています。ざっくりと切って、ジップロックの中で塩昆布やめんつゆを入れて振ります。


シェイク!シェイク! ブギーな胸騒ぎーー!!!


ちょ、ベリベリ最高ヒッピハッピ…


…口をしっかりおさえていないと飛び出します


大体数十回もSHAKEすれば半分くらいにカサが減ります。翌日・翌々日くらいがおいしいですね。落っことしてしまったカブの写真を撮ったり、洗ったり、ジップロックに戻すのも気が引けるそれを生のまま口に運んだりしていると、自分は何をやっているんだろうという気分になりますね。


ちなみにジップロックを使えば半熟味玉を作るのも少ない漬け汁で済みますよ。こちらもたまにSHAKEしてくださいね。


栄養面についても軽く触れておきます。

カルシウムはその吸収率を高めるビタミンDがなければ骨の成長にはつながらないそうなので、牛乳を飲むのならビタミンD配合のものを選んだり、カルシウム+ビタミンDが豊富な小魚を取ると良いそうです。写真はしらすをにんにくで炒めて胡麻を入れたもの。ご飯に合います。

体や脳をたくさん使う日にはパンやご飯などの炭水化物がふんだんに必要。ビタミンB群と一緒に取ると効率よくエネルギーに変わるそうです。ビタミンBはうなぎ、豚肉、海草などに多く含まれます。

果物をたくさん食べます。酵素とか抗酸化とかそういう話はなにやらややっこしいですけど、とりあえずフルーツはおいしいですよね。朝の果物は金!昼も金!夜でも金!

しらすおにぎり、ゆでたまご、ふかしいも、豚肉とブロッコリー炒め、黒豆、かぶの浅漬け、フルーツ(いちご、オレンジ)。右はまぐろそぼろ御飯・ハム巻きほうれん草・若竹煮・焼き穴子・野菜スープ…手前味噌ながらここらへんの朝食は割とイケてるんじゃないかしらと思いました。(どちらもほぼ前日の残り物ですが…)



…が、そんな私の慢心をはるか高みから圧倒する、プレジデントファミリー朝ごはんグランプリ・プライズウィナーのお母様方。

こちらのご家庭ではただ健康に良くておいしいだけではなく、噛む事を主眼に置いてお料理を構成しているそうです。噛むと頭良くなるって聞きますよねぇ。朝ごはんだけで地産地消の食材を30品目。なおかつ子供の生活や時事問題と絡めて献立のテーマを決めているとのことです。しかも作り置きもしない。出来る範囲でだとしてもこの条件を全部満たす朝ごはんってものすごい。驚愕しました。子供が国語の授業で「ごんぎつね」を学べば、物語に出てくるウナギ・イワシ・クリ・マツタケなどを食卓に…マグロ禁猟問題が話題になった時は、マグロのたたきを食べながら食卓の話題はワシントン条約にまで及んだそうです。たたきにしたのも勿論意味があって「たたきは高温多湿の日本ならではの生魚を楽しむ知恵。こんなふうになじみ深いマグロが絶滅危惧種に指定され、日本のマグロ食文化が途絶えてしまったら…」という話に繋げるのです。もう離れ業としか言いようが無いです。私がホットケーキを焼いて「ほーら、ぐりとぐらに出てくるカステラっぽいよー」とかやるのとは何もかもが違う!もうここの家の子供に産まれたい!産んで!!


このまぐろのたたきはバルサミコ酢とワサビで味付けしてあるそうです。お皿の左下はクエの西京焼き。オーガニックレストラン並みですね…


その他のご家庭もざっくりまとめますと以下のようなイメージです。

洋食なら、まずホームベーカリーで焼き立ての香ばしいパン…子供と一緒に育てたハーブがふんだんに入ったサラダ…具沢山のオムレツ…和食なら土鍋で炊いた玄米…焼いた青魚…Yes,DHADHA!Yeah!…肉みそ、野菜の酢漬け、豆やひじきの佃煮などは常備菜としていつも食卓の上に…そして具沢山のお味噌汁…こういったご家庭では朝食までの時間、子供たちは自主的にランニングに行ったりドリルをしたりピアノを練習したりして過ごします…朝ごはんもなんなら一緒に作ります。ふんわり卵焼きやきんぴらの調理もお手のもの。配膳も当然子どもがします。父親も食卓につき、子供と一緒に新聞を読みます。食事の間はテレビをつけない。もしくはニュースを見ながら家族でディスカッション。締めは「ごちそうさま!あー今日の朝ごはんもおいしかった!じゃあ食器洗うね!あ、コーヒーも僕が入れるよ」…こんな感じです。もう誌面が眩しくて見えない!


こういう朝ごはんを食べさせ続けていれば!こういう生活を続けていれば!この雑誌に載っているおりこうさんな感じの子供になるのでしょうか!将来は大成するのでしょうか!よろしい、ならば食育だ!!!小魚を!根菜を!ひじきを!!切干大根を!!花に水を!人には愛を!!まごはやさしい!??ねぇ、まごはやさしいの!!!????*1…すみません取り乱しました。素晴らしいご家庭の様子を垣間見て自分の至らなさに落ち込むのではなく、参考になるなー、いい刺激だなー、と思えるぐらいには、我が家なり私なりに少しずつ頑張っていきたいです。えーと、たぶん、子供がもう少し大きくなったら。中学だか高校だか大学だかいずれかの受験を考える頃までには。だから妖精さん…いえ、お義父さん…今しばらくは、その雑誌 take it away…


補足ですが、プレジデントファミリーもガッチガチに食育を推進をしているわけではなく、特集の締めには「家族の健康にいい気遣い、無駄な気遣い」と銘打ちお母さんの心配事相談という形のトピックに小児科医の方がゆるめの返答をつけた記事を掲載するなどしてバランスを取っています。内容を抜粋いたしますと「朝ごはん抜きだと栄養不足になる?」」という質問には「今の子が注意すべきはむしろカロリー過多」「東洋医学には少食や1日2食の方がいいという考えも」とか「母親の手抜きごはんが子の学力低下の原因?」「キレやすい子になる?」という相談には「海外ではパンとコーヒーだけというのが当たり前ですよ!ちょっと手抜きするくらいが国際標準です!」と、柔軟なお答えです。「人間は多様ですから、すべての人にプラスになるような行動など存在しません」「子供が元気なら大丈夫」という言葉に、そうか…いいんだ…そんなに青筋たてて、子供の食育と教育にきりきりまいしなくてもいいんだ…と少し肩の力が抜けました。
あと「残業ママに朗報!栄養士一家の上級手抜き術」という記事も。

前日の夕食の支度中に朝ごはんの段取りをしたり、真空保温調理器を活用する方法が紹介されています。こちらにつきましては、この栄養士の方の効率がとても良いだけであって、全くもって手抜きだとは思えませんでした。手抜きとは以下のような感じだと思います。



ある日の朝食。ホットドッグとキャベツ入りコーンスープ。一周まわって元通りといった感じの素っ気無さです。



またある日の朝食「ママー!ラーメン食べたいー!」「朝からラーメン?いや、別にいいけど…」「ハム!」「ハム!!」



こちらもラーメン。「すぐおいしいすごくおいしい」のあれです。

真上から撮影すると、この盛り付け、個性的な感じの古着屋で売ってる服の柄みたいですねー。適当ですねー。



某日。朝。この時は何も用意していませんでした。そこで前日に夫がお土産に持って帰ってきた鯛焼きを。カワイイマークだねぇ。おいしい鯛焼きだねぇ。

…ごめん。

最後にこんなことを書いている私の子たちが「頭のよい子」かどうかということについては…とりあえず「今一番欲しいものは天体望遠鏡電子顕微鏡!」と素で目をキラキラさせて言ったりするような子ではないのは確かです。息子(6)はギラリと鋭い眼光で「ヘルケルベクス」だとか「メテオエルドラゴ」だとか暴走族みたいな名前のコマをいじるのに夢中です。私が買った面白そうな図鑑は最初だけ関心を寄せたものの一通りの写真を眺めたら存在を忘れ「ポケットモンスターブラック/ホワイト・公式イッシュ図鑑」の方は繰り返し読んで、どこへ行くにも手放そうとしません。娘(4)はごっこ遊びが好きですが、あざらしになったりどじょうになったりで、人ですらありません。しかも夫は子どもと一緒に食事どころか、結婚前から朝ごはんを食べない人でした。入らないらしい。それでも結婚約十年でフルーツかスープならたまに口にするようになりましたが…このペースであと3、40年たったら老後は二人で朝食バイキングとか行けるようになるかな…
でもとりあえず家族皆元気だし、私も毎日楽しいのでおおむね大丈夫です。そう思いたい。長々とご覧頂きありがとうございました!

*1:ま(豆)・ご(胡麻)・は(わかめ・海草)・や(野菜)・さ(魚)・し(椎茸・きのこ)・い(芋)