ハート震える、トラウマ揺さぶる、混沌の昭和レトロ倉庫

去年の話ですが福井県三国町の三国昭和倉庫館という場所に行きました。昭和35年から80〜90年頃代までのありとあらゆるものが展示してある大変面白い場所だったのでご紹介させていただきます。なんというかこの中にいると楽しさ・懐かしさとともに小さい頃のトラウマ・物悲しさなども一緒くたにどんどん湧いてきて、それらが入り混じったムズがゆい感情を、展示物を見ながら感心したり茶化したりして紛らわすのはまるで服の上からそのムズがゆい部分をカリカリしているようで…このじれったい掻痒感が気持ちいい!そういえば浅草花やしきに行った時もこれに近い感情を覚えたものです。


この見学施設は建築会社の方が所有していて、展示品は家屋や建造物などを取り壊す際にその中にあったものだそうです。とほうもない量の雑多なものを廃棄せずに長年ストックし、それらを一挙に展示しているので、押し寄せるごった煮感、そして展示品の数々から生々しくにおい立つ、昭和のリアルな生活感がハンパないです。

ちなみにHPを見たら展示面積が500坪と書いてありましたが、この日行ったパンフレットでは600坪になっていました。出来て一年ほどで*1100坪も増えているのだから、この先どこまで広がっていくのか…どんどんと大きくなっていったらいつしか福井県全域いや、日本全体が昭和倉庫になってしまうのではないだろうか…*2






入館料500円を受付の女性に払うと、袋に入ったスナック菓子を手渡してもらいました。「食べながら見て下さい〜」とのことです。すごくおおらか!ここは展示品すべて触っていじって遊んじゃって!好きにやっちゃって!という放任主義なところが素敵です。しいて言えば「大切にお使い下さい」という注意書きがたまにあるくらい…。はい丁寧にします。優しくします。だから触らせて!!(がっつく心を抑えながら)



入口近く、昭和35年について掲示してあります

食パン一斤32円、コーヒー一杯60円。映画配収No.1「ベン・ハー」…単行本の売り上げNo.1「性生活の知恵」*3…ダッコちゃん人気、のりたま、インスタント麺などなど…




まずは洋裁屋さんをイメージした区画

はい、いきなり怖い感じの人形出たー

皆さん顔色がお悪い!




通路の途中に唐突なメリーゴーランド。

その横にはスマートボール、乗り物などの遊戯コーナー。さすがに電気系統は稼動していませんでしたが…

ファミコンは絶賛稼働中。

懐かしい雰囲気のおもちゃ達。大レトロではなく中レトロといった感じです。刺身的に言うと。


Poko(ポコ)ちゃん目つき悪いわー。妖怪舌なめずりだわー。




おや…これまた唐突にミニお化け屋敷が…

中はこんな感じ。怖い!怖い!!…文化祭のクラス出し物みたいな仕掛けなのに、なぜこんなにも背筋が寒くなるの!?




レコードプレイヤーとレコードがたくさん置いてありました。勿論勝手にいじって聞けます。

私は使い方がよくわかりませんでしたが、お好きな方はこの一角だけでも結構楽しめるのではないかと思います。YMOのは夫が「俺これ持ってたよ」と懐かしがっていました。




昔の車に乗ったりも出来ますよー。

分類しきれなかったのであろう有象無象もそこらへんにどっちゃり積まれてますよー。




台所。蛇口のない流し台。水は汲んでくるのでしょうね。お米を炊くらしき釜も横に…昔の奥さんは大変でしたね。今は便利に暮らせてありがたいです。しかも無洗米とか使っててすみません。

ちゃぶ台を囲む食卓

こっちは幾分モダンなダイニング

ちょっと新しめのきんさんぎんさんの手形色紙。とりあえず飾っておこう感

このお茶碗は桃屋ノベルティでしょうか…


私が小さい頃、祖父母宅にもこういう系の椅子があったような記憶が…遠くに住んでいたのに、遊びに行った時のためだけに子供椅子を用意して待っていてくれたんだなー、当時としてもややダサいチョイスだったんだろうなーなどと考えてクスリと可笑しくなりつつじんわりしました。この椅子にはどんな子が座ってたんだろう。顔怖いよこのネズミ…ガンギマリだよ…




無造作に紙芝居や昔の漫画などが置いてあります。

「ばかたれっ!このばかたれえ!」…激しいストンピングタイガーマスク先輩のしごきだ!あざす!!あざっーーす!!




風呂屋さんをそのまんま持ってきたスペース

置いてあったシャンプーにたっぷり中身が入っていたのでドキドキしました。でも蓋を開けておそるおそる嗅いでみましたが、いいにおいでしたよ。エメロンとかそういう感じの。しかしこれ泡立つのでしょうか。髪キッシキシだよ!キッシキシ!ってなりそうですね。

結晶化してますが、こちらもシャンプー…
そして疲れがあまりとれなさそうな無骨なマッサージ椅子。

ローラーゴッツゴツだよ、ゴッツゴツ!


中身入りといえば、その辺にいつのものともしれぬ未開封のこんぺいとうとかミルキーもありましたね。製造年月日見ておけばよかったです。




子供部屋にはリュックサックやそろばんが無造作に置かれています。

棚にはペナントやニポポ人形

…ときたら木彫りの熊も外せません!ちゃんとタンスの上にいました。

子供部屋にはやや似つかわしくない劇画。おとうさんあたりが麻雀お好きだったのかな。

その横には包装紙で出来たお人形。これ作ったの絶対おばあちゃん。鉄板でおばあちゃん。

ナウい若者の部屋。こういう感じの部屋で暮らしていたのは絶対リア充





「絶対にのぞかないで下さい」と念を押しながら子供用ののぞき穴まで用意するという周到さ…「見るなよ!絶対見るなよ!」
ではお言葉に甘えて
…そーっとのぞいてみてごらん♪そーっとのぞいてみてごらん♪

♪みんなでお遊戯…なんかいた!うわあ!だからマネキンは怖いんだってば!


「ジュリーの神話」

このポスターの沢田研二は相当coolなのですが、頭上に配置されたハニワがどうも…。

神秘的な感じをかもし出す意図だったのかもしれませんけれど、この並びじゃジュリーがはに丸みたいじゃないか!*4





パーマ屋さんの椅子の横には80年前後の明星ヘアカタログや漫画雑誌がたくさんありました。これがめちゃくちゃ面白かったです。どのページのどこを読んでも、隅から隅までアツい。熟読したかったのですが子供に卓球に誘われて中断。

↑これ。
いつか雑誌だけ読みに来たいですねー。日がな一日眺めてられる気がします。パラパラめくっただけの中身をちょっとご紹介します。


読者の変身コーナー

「にぎやかなの好きな人必見よ」
「何が好きだって?そりゃ、清志郎にジュリー、もひとつおまけにアン・ルイス。もう現代のド派手お楽しみ主義者を崇拝しちゃう女の子たちは、にぎやかなの大好き人間。カッコつけ根暗人間がふえている最近、根明族はここらでパッとやったろやないか!スローガンは、明るく楽しくおもしろく。やっぱどうせ変わるならガラッと変えてみたいじゃない。パンクっていうとやたら黒のイメージが強いけど、若い身そらで年増の色を着ることもないじゃんね!一度は好奇の目を全身にあびるってのも悪くないと思うのね。軽薄っぽいのって軽いから好きなんだ。中身が無いわけじゃないもん ……」
吹けば飛ぶよな軽やかさの文体です。

上の写真右隅の女の子が「ブリティッシュパンクに大変身!」…私の知る限りパンクってこういうのじゃなかったような気がします。

「ジャーン!カッコいい。涙ちょちょ切れるほどのきまり方。宇宙人のようにふるまえる。これぞ変身おみごと賞。」…すばらしい!でもせっかくパンクに変身したはずのに、なぜ宇宙人の振る舞いを…もう少しtoo fast to live,too young too die的なことしようよ。

「お楽しみ変身小道具は冗談とも本気ともいえるおもしろ指向がバカウケだあい」ゴジラが小道具だそうです。これは頭に刺しているのかな?いいですねー。これが冗談でも本気でもどちらにしても正気の沙汰じゃないあたりが。

この小判の形したイヤリングもすごいですね。どこまで黄金色のお菓子が好きなんですか。こんな商品、越後屋さんだってそうそう思いつきませんよ。

こちらのコーディネートはちょっとカワイイですね。


明星ヘアカタログからもう少し。芸能人のインタビューもたまらなくいい雰囲気なんです…当時の芸能人の徹底したキャラ作りはすごい。プロです。アイドル職人!


田原俊彦さん

(俊彦)「ぼくはいつだって、おとなしくて無口でマジメ青年だよ。」(インタビュアー)「ようくいう。トシちゃんの場合の無口は、口が6つあるムクチ。マジメは、上に”不”がつくマジメじゃない!?」(俊彦)「ムッ。」…やだお茶目!

(ドラマ出演の話を振られて)「『さよなら三角またきて四角』。複雑な出生をした役なんだけど、ぼくって、どうしていつも普通の子の役じゃないのかなぁ」(インタビュアー)「根暗だからかなぁ(笑)」(俊彦)「このォ(と手を上げる)」…とっても親しみやすいやり取りです。締めの言葉は「サンキュー・ベロ・マッチャ」…あーん、トシちゃんみたいな男の子がクラスメイトにいたらいいのになァ…


松田聖子さん

まず冒頭から「(聖子さんがO・ヘンリー短編集3冊を片手にスタジオ入り)」です。彼女の言うことにゃ「あら、恥ずかしいわ。たまたま持ってただけよ」です。「最後の一葉」とか読んで涙ぐんじゃうんだろうな…「夏は軽井沢でテニスもいいわねぇ」とかことごとくステキ…憧れちゃう…



早見優さんはやはり英語キャラ。「オー、イエース。ベリーラクね」「オー、メチャクチャね」「オー、はいはい、イエス」…って、オーとイエスだったら、もう日本語でいいじゃないですか!!




お土産も売ってますよー。


かばん1800円・水筒2000円・ヤッターマンの給食袋1500円・サスペンス劇場の凶器500円
(この価格設定は高いのやら安いのやらサッパリ…)


そんな懐かしい感じの品々に混ざって…

あっ、割と新しい方もいました。(Ai kagoさん)




まだまだ書ききれない、写真も載せきれないほど色々な物がありました。隅々までたっぷり楽しめます。機会があれば是非足を運んでみて欲しい場所です。http://www.fitweb.or.jp/m-syowa/index.htm


駐車場には車が埋まってましたし。

*1:私が行った当時。もう開設から二年近くたってるかもしれません

*2:はてしない物語」で「虚無」がファンタージェンを蝕んでいったみたいに

*3:謝国権さん著。当時としては斬新だった男女共にオルガスムスに達する事を重視する考え方などで、日本人の性意識を変えた、などと評されていたようです。読んでみたい

*4:昔々NHK教育で「おーい!はに丸」というハニワ王子とハニワ馬の着ぐるみ劇があった