一日五食・香港旅行 小籠包VS海老餃子

きのこの山たけのこの里が永遠のライバルであるように、小籠包と海老餃子も飲茶界の二大人気点心として好敵手関係にあると思います。これは春休みに、私と子供二人、実家の母、姉の五人で行った三泊四日の香港旅行の記録です。母と姉はそれぞれ何回か行っていて、私は初めての香港でした。1日のみツアーで有名な観光地を見てまわり、それ以外の日程は自由行動です。
ところでタイトルには「VS」とありますが最初からこの二つに甲乙をつける気はさらさらなく、どちらも存分に食べてきました。海老ワンタンもおいしかったなぁ…。

行きの飛行機の機内食

パスタの上にマーポー豆腐が乗っている!さすが香港の航空会社、キャセイパシフィック!日本にたらこや納豆等の和風スパゲティがあるみたいに、中国料理でもイタリアンとは趣を異にする独自のパスタ文化が展開されているんだなぁ。面白い。…と、ここまで考えつつ口に入れて、これは単にひき肉が豪快に粗挽きされているだけで、ごく普通のトマト味ミートソーススパゲティである事に気がついた。私の期待は空回り&肩すかしでしたが、デザートはちゃんとマンゴープリンでした。

機内、割と早い段階で飲み物をこぼされてしまったので、以降大半の時間、娘専用ドリンクホルダーとなる私の手。

息子はディズニーチャンネルでごきげん。「これは面白い飛行機だね」とお褒めの言葉が出ました。


現地に着いたのは夜11時くらい。ツアーのバスでホテルに向かいました。車内から見えるクレーン群の夜景がかっこいい。このあたりでスースー寝始める子供たち。旅行会社の男性が同乗していて、道中軽く香港のガイドをしてくれました。「…最近天気が悪かったので、香港の夜景も100万ドルじゃなくて10万ドルくらいでしたヨー」…定番の小ギャグ。
この10万ドルギャグは空港からホテルに着くまでの一時間ほどの間に2、3回繰り返されたので、この時は彼の話を軽く聞き流してしまったのですが、翌日以降、このガイドさんからたびたび繰り出される軽妙なトークで、楽しい時間を過ごす事ができました。到着時は単に夜間の仕事でキレが悪かっただけらしい。
「香港は外食が盛んで、あまり自炊をしない」という話をしていた時は「私の奥さんも頼まないとご飯作ってくれません。でも頼んでも作ってくれないです。さらに頼むと怒られます」という三段オチの恐妻家ジョークがふるっていた。
あと、イギリス文化の名残か、香港では競馬がとても盛んで、5千円を80億円にした若者がいる、という景気のいいエピソードを話してくれた後「だから香港の人みんな競馬頑張る。私もガイドはバイトだと思ってやってる。本業は競馬ね。競馬は人生です。」と言い放ったのも面白かったです。競馬は人生。CLANNADは人生。彼の顔はある種の輝きを帯びていました。キリッとしてた。あの時の彼を忘れない。
そういえばお茶選びのアドバイスもしてくれたっけ…「何個かセットになった綺麗な小さい缶のお茶は、一度淹れて乾かした使用済みの茶葉だから買っちゃダメー」…えええ!使い勝手もいいし、そういうのよく買ってたのに!
まぁこのガイドさんは本気なんだか冗談なんだかよくわからない発言が多く、この話を鵜呑みにするのもためらわれたので、とりあえず見栄えのいいお茶はさほどおいしくないらしいという程度に耳へ留めておきました。今回の旅でお土産にしたのはマグネットやお菓子等です。(結構気にしているじゃないか)



リアルな食べ物マグネットは人に渡した時の「え…何でこれ…?」というリアクションに困った反応が楽しかったです。友人の家に遊びに行った時に勝手に冷蔵庫にはっつけて帰ってきたりもしました。地味なサプライズ。


話は戻って観光地

超高級住宅が立ち並ぶ淺水灣(レパルスベイ)その先にある天后廊は色々な神様の像が集まっています。



すごく派手な景観。海の神様や土地の神様や、もう何が何やら神様ちゃんこ鍋。ヤギ三匹の像は何の神様かわからないけれど、名前はたぶん「がらがらどん」とかそんなんです。

触るとお金持ちになれるという像があったのでことさら熱烈に触っておきます。あやかりたい!あやかりたい!

娘も触る。それは子宝の神様なので、あと軽く2、30年はそちら様のご利益は必要ないかな…

子供達は神様集会所近くの海岸沿いで芭蕉扇を手に入れた!いえ、ただの大きな葉っぱですがなんだか縁起が良さそう。


占いで有名なお寺、黄大仙廟

ちゃんと占おうとすると手相を見たり人相を見たり生年月日を調べたりで大変時間がかかるそうなので、簡単なおみくじだけを引きました。

1〜100の番号のついた棒が入った筒をシャカシャカして、出てきた番号に応じた結果があります。私は我慢が福を呼ぶそうです。具体的に何を我慢しよう。PC中はついお手洗いに行くのを我慢してしまいがちなので、もうそれでいいでしょうか。福来るかな。
姉(未婚)は「結婚のチャンスあり」と出て喜んでいました。息子は金運と健康運が良好だそうで、娘は超大吉・万事好調オールオッケーであるところの「1」を引きました。1/100とはラッキーガールだね。そしてもうすぐ60歳になる母は子宝に恵まれるという結果が!まさかの超高齢出産!姉の結婚と併せ、今年下半期は家族を取り巻く環境に大きな変化が起こりそう!…って…そんな、ここでの占い結果が一気に眉唾物になるようなご神託はあんまりです!!


立ち寄った漢方薬屋さんにて

角付き鹿ヘッド(かぶりものによさそう・ディズニーランドに売ってそう)やタツノオトシゴなどがリボンを結ばれてちょっと可愛くなってる。日本語のパンフレットがあったので貰ってきました。材料を見ていると面白いです。漢方薬って、うっかりしてるととんでもないものを飲まそうとしてくる。

「蛇のペニスが精力の増強や持続性に特効がある」…って、なんとなく蛇のねちこいイメージだけで効能を決めているような気がしてなりません。オットセイのペニスなどは「やる気まんまん」を思い出しますし…


油麻地

生活のにおいを感じる下町で細い道に入ると屋台などが立ち並びます。亜熱帯らしいトロピカルフルーツも売っていた。マンゴーがすずなりに積まれていてテンションが上がります。ネコにマタタビ、私にマンゴー。あの中にダイブしたい!


鮮やかな色彩に惹かれて入ったお店は仏具・葬具屋さん。火葬の際に棺に入れて燃やす紙の物品がたくさん並んでいました。



お金、衣料、食べ物…ブランドを模した派手な装飾品や携帯なんかも。あの世に一緒に持っていくのですね。私だったら何を一緒に燃やして欲しいかなー。ipodなんか嬉しいな。好きな曲を聴きながら黄泉路を行きたい。ちなみに私の好きな曲とはロック全般なのでたいそう賑やかです。


香港の人は1日5食ぐらい食べるそうです。朝・昼(飲茶)・アフタヌーンティー・夕食・夜食ですね。私たちもその習慣にならい滞在中はとにかくひっきりなしに食事をしていました。1日5食プラスおやつという感じです。カロリー問題につきましてはプーアル茶とウーロン茶に全面的な信頼を寄せつつ。特に冒頭でも触れましたが、飲茶・点心はもう目の敵のようにして食べました。サーチ&デストロイです。


お粥で朝食

この店はにわとりの食器が可愛かった「食べなさい」…朝から食欲にハッパをかけられました。おうとも!食べますとも!!

お粥と腸粉が香港スタイルの朝食。腸粉とは形が豚の腸に似ている事からついた名前だそうですが、肉肉しいお料理ではなくライスヌードルにエビがくるまれた点心です。

この腸粉はエビとタマゴとあと素敵なものいっぱいで出来ている…

こっちのヤキソバもエビとタマゴとホタテとあとなんか天使のようにフワフワしたものでいっぱい…

結局お粥と腸粉だけでは済まない。小籠包、豚足なども。


飲茶



エビワンタン、エビ餃子、カニしゅうまい、カニみそとスープが入った餃子。カニみそ餃子にはこっぴどくヤケドさせられましたが全くいまいましい気持ちにはならなかった程おいしかったです。目に入れても痛くないってこういう事かなって思いました。

デザートの蓮の実あん入りケーキとエッグタルト。エッグタルトといえば日本のケンタッキーのデザートにもなっていた。でも期間限定だったらしく現在見当たりません。あれ、元々は台湾ケンタッキーの定番メニューなんですよね。以前台湾を訪れた際はあのエッグタルトに夢中になって滞在中毎日食べていたので、日本でもぜひまた復活して欲しい…。


おやつの亀ゼリーと甜茶

亀ゼリーはすごく渋くて苦い味がします。で、かかっているシロップが甘い。最初はにがっ!にがっ!と罰ゲームでセンブリ茶でも飲んでるようなリアクションをしていましたが、だんだんその渋みがクセになってきてペロリと食べきってしまいました。ゼリーは冷たいのと温かいのと選べます。香港の人は体を冷やす事を恐れて冷たいものをあまり食べないそうです。飲食店に入った時もお水じゃなくてお湯が出たりする。冷え性改善に良さそうな生活習慣ですね。取り入れたい。夏にホットコーヒーを飲むタイプの人間でありたい。



ペニンシュラホテルのアフタヌーンティー。スコーン、サンドウィッチ、ケーキ等ティースタンドに載ってるもの全てがとってもおいしかった!


北京ダックが有名らしいレストランに入りました。食事の合間に麺打ちパフォーマンスをしていた。他、この店の特徴としてはウェイトレスさんのチャイナドレスのスリットが必要以上に深かったです。


丸い小麦粉の塊があっという間に細い麺に。打った麺を手渡してくれました。食べられませんが…

このまま捨てられてしまうものならばせめて有意義に、と食事の合間にこむぎねんどとして子供と遊ぶ。ネコ?を作る私の向かいでは姉が本気のアンパンマン作りに着手していました。

ダック肉とふかひれスープ

娘の小籠包の食べ方は大変罪深い。熱いから仕方ないとはいえ「あけて。」の一言で私に皮を裂かさせ、せっかくのスープを全部ぶちまけてからでないと口にしようとしません。皮は気が向けば食べます。むごいことを…来世で小籠包に生まれ変わって生姜と黒酢でおいしく食べられてしまっても文句は言えませんよ!!?(「ご飯粒を残すと目がつぶれるよ」的な脅かし小言)


香港タイムズスクウェア内の海鮮レストランのお料理はどれもこれも驚きのおいしさでした。おいしすぎて食べながら思わず「え…ちょっと…何入れたらこんな味になるの…?」と呆然としてしまったくらいです。

トリの足(モミジ)、嬉々として丸かぶり。おいしい

見当もつかない調理法で仕上げられた魚。おいしい。もう「おいしい」としか言えない。

ザリガニファンの息子は店内の水槽でがっしゃがっしゃと動くロブスターに釘付け。


街歩き雑感

牛頭角、油塘、杏花邨…食べてばっかりなので、地下鉄の駅名すら食べ物の名前に見えてくる。うん、おいしそう。



いたる所でビルの窓からバンバン洗濯物が干されていて驚きました。風に飛ばされそう!

上記写真のような高層ビルの上の部屋からも躊躇なく干されていたので、あれが飛んでいったら回収は不可能だよな…などと考えずにはおれませんでした。我的靴下片方何処?



香港には地震が起こらないという前提でじゃんじゃん道路側へせり出している看板。「倒壊とかまじありえないし」といった強気さを感じます。



繁華街では香港女性の服装センスの良さに目を奪われました。超おしゃれ。写真は銅鑼湾のタイムズスクウェア周辺。あと尖沙咀にあるハーバーシティというショッピングモールの品揃えがすごかったです。じっくりは見れませんでしたが、あそこはたぶん買い物目的で行ったら丸1日かかっても出て来られない。






今回の食道楽旅行の〆は羽田から帰る途中にコンビニで買ったカップのワンタンでした。
長々とお付き合い頂きありがとうございました!